JGTC 第2戦富士のアクシデント
5月3日、サポートレースでの赤旗や天候などから、予定より若干遅れたものの、いつもと同じようにレースが始まろうとしていました。
ペースカーの先導による1周のローリングラップのあと、通常ではペースカーがピットレーンに飛び込みローリングスタートするのですが、雨が降ったりやんだりで路面が濡れていたからでしょうか、ペースカーがピットに入らずもう1周ペースカーランが続いたのです。
しかし、ここで事故は発生しました。
スタートが切られたと勘違いした後方のGT300の数台が加速、そしてまだスタートしていないと気づき減速した所に後ろの車が追突、弾き飛ばされて止まった車にさらに後方の車がぶつかる多重クラッシュでした。
この事故で、N0.27 TFCJフェラーリF355GTが炎上、ドライバーが自力では脱出できず、しばらく燃え盛る炎の中に閉じ込められてしまったのです。
ドライバーの太田哲也選手は全身の60%に火傷を負い、また内臓(肺)にもダメージがあるらしく、重体です。
なんとか、一命を取り留め、元気な姿をまた見せてくれるよう祈るしかありません。
【その後の続報5/7】
GTCオフィシャルページhttp://gtc.infosim.co.jp/gtc_home.htm によると、
太田選手、危機的状況を脱する
太田選手は、収容された富士スピードウェイの地元・御殿場市の病院から、6日の朝にやけど治療で実績のある医師がいる東京都内の東京女子医大付属病院へと急遽転院した。
この専門医の下ですぐに緊急の手術が行われ、無事成功した。これにより太田選手は、心配されていた生命の危機的状況からは脱することができ、快方への兆しが見えてきた。だが、やけどは感染症などの事後の悪化も心配されるため、まだしばらくは絶対安静であることは変わらない。
とのこと。ひとまず安心です。
さて、この事故で何点か重大な問題があるのです。
まず第1に、オフィシャルの体制です。
太田選手を助け出したのは、NO.38 RE雨宮マツモトキヨシRX7に乗っていた山路慎一選手でした。
山路選手は燃え盛るフェラーリを見てすぐに脇に車を止め、コース脇の消火器を持って消火をし、太田選手を車の外に引っ張り出したのです。
山路選手の行動は賞賛されることで、拍手を送りたいと思います。このようなことは思っていてもなかなか実行出来ないことですから。
しかし、山路選手がこれらの行動をしていたとき、オフィシャルはまったく近くに来ていませんでした。なぜ、まだ車の中に人が取り残されているというのにそこに1番に駆けつけないのか。消火が早ければ早いほど助かる可能性が高くなるのですから・・・
このような事故に対してどう動けば良いのか、
オフィシャルの教育が足りないと言わざるを得ません。
第2に、救急体制の不備です。
車から救出後、太田選手が乗せられたのはただの1BOXカーでした。救急車は足を怪我したナインテンの砂子選手を運ぼうとしていたのです。すぐ近くに動ける救急車は1台しかなかったということでしょう。
また、医務室での最初の診断は腕に少し火傷を負っただけ、怪我は砂子選手のほうが重いぐらいというものでした。
ちゃんとした医師がサーキットの医務室に詰めていたのでしょうか。看護婦だけとか、下手をすると誰もいなかったとか・・・
【その後の情報】
救急病院であるフジ虎の門病院に搬送されたとき、気道を確保する挿管チューブが挿入されており、窒息の危険からは保護されていたとのこと。
きちんとした応急処置がなされていたようです。
第3に、ペースカーの使い方などです。
路面状況が悪いからローリングを続けるということ自体、悪いことではありません。しかし、それをちゃんと後方の車に伝えることが出来ていたのでしょうか。今回の結果からは、まったくできていなかったといわざるを得ません。
今回のような雨のレースでは、水しぶきが立って後ろの車は前が良く見えないですから、前車が加速すればスタートが切られたと判断して加速するのです。
ペースカーはスタートが切られていないことを判りやすくするような速度で走らなければいけないのに、それを怠った節があるのです。
また、このような天候の場合、スタート直前のドライバーミーティングでローリングラップを2周行いますと決めておけばいいはずです。
このように、ドライバーに対してもう少しうまく情報を伝えられれば事故はずっと減るはずなのです。
去年のF3の事故でも、早めにペースカーが入っていることを伝えられればあの惨事は防げたはずなのです。そのときとは事故の発生の仕方は少し異なりますが、今回も同じ根の事故といってもいいのではないでしょうか。
以上、拙い文をずらずらと書いてしまいましたが、何とか少しでも日本のレース界が良くなってほしいと思っているのです。レースをやっている以上、絶対ぶつかるな、絶対怪我をするなとは言えませんが、痛ましい事故が少しでも減ってくれるようにと思います。
みんなで、楽しいレースが見たいですね。
フェラーリの火を消している山路選手。
まだオフィシャルはまったく現れません。
火がやっと消え、太田選手を引っ張り出そうとしています。
しかし、よく見るとまだフェラーリの向こう側は火が残っているのです。
右側ではオフィシャルが一人、何かの火を消そうと消火器を使っています。
しかし、この物体は大きさがずっと小さく、
どう考えても人が中にいるようなものではありません。
左に止まっている黄色の車は山路選手の車です。
やっと太田選手を車の中に収容し、医務室へ運ぼうとして
いるところです。
しかし、救急車ではなく、ただの1boxであることに注意。
太田選手は担架などではなく、担がれてこの車の中に運び込まれたのです。
よく見ると右のほうに救急車が1台止まっています。
もう少しグランドスタンドよりに砂子選手のポルシェが止まっていました。