フォトエッセイ 1996年11月5日


今週の写真: 京都北山・花背広河原の紅葉

左京区広河原の紅葉です。

京都の紅葉、そろそろ見頃

朝晩、ずいぶん冷えるようになりました。京都のケヤキやイチョウも少しずつ色づき始め、 そろそろ紅葉も見頃になりそうな雰囲気になってきました。芦生や花背など、山の紅葉はもう盛りを過ぎて散り始めていることでしょう。

春のさくら、秋のもみじは、古都・京都を美しく彩ってくれます。京都にはさくらやもみじで有名は社寺が数多くありますが、あまりに有名すぎて、ひと、ひと、ひと・・・・。ゆっくり花や紅葉を楽しめる雰囲気ではありません。
   
そこへいくと花背や広河原は静かでgood。有名な社寺こそないけれど、山ざくらよし、山もみじよし・・・・。やっぱ、いなかはいいもんです。
   
この写真は広河原佐佐里峠付近で撮影したものです。この辺りの林は完全な原生林ではありませんが、ブナ、ミズナラ、カエデ、トチノキなどの落葉広葉樹と常緑のスギが混交林を作っています。やはり、赤、黄、緑が混じった紅葉はきれいですね。
   
京都は北山杉で有名ですが、この辺りのスギは芦生杉と呼ばれる天然杉。スギは、本来、ブナなどと一緒に極相林を作る木なのです。しかし、スギは有用材なので、標高が低いところにも人工的に植えられてきたのです。

整然と植えられた北山杉も美しくはありますが、植林密度が高いため幹が細くひょろっとして力強さがありません。そのため、冬に水気を含んだ重い雪が降ると、重みに耐えられない北山杉は幹の途中からボキッとおれてしまいます。それに比べ、芦生杉の幹はどっしりとしていて力強く、雪深い広河原の冬にも耐えることができます。
   
広河原は交通の便は悪いところですが、春のさくらや新緑もまた綺麗な所です。ここの桜の見頃はずいぶん遅く、ゴールデンウイーク前半、ちょうどみどりの日あたりです。茅葺き屋根の家も残っていて、ひと昔かふた昔まえの風情。古都・京都の有名社寺をあわただしく見てまわるのもいいですが、時にはゆったりと花背から広河原くんだりを旅してみてはいかがでしょうか。

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