Blue Heven ブルーヘヴン (後編)


 鏑木は三輪を、同じ洞窟の別の場所へと案内した。

 二人は再び、あの動きにくい服と息苦しい面とを装着した。

 今度は三輪も面を付けたまま歩く呼吸法を覚えたのか、さっきよりは楽に

行動することが出来た。

 次に鏑木に案内されたのは奇妙な場所であった。

   鰻の寝床のような洞窟内の広場に樽があった。

 人の背丈ほどはある大きな樽であった。

 尋常でないのは、その数であった。

 樽が所狭しと並べており目を凝らして洞窟の奥を見ても、その果ては分から

ない。

 「これは・・・」

 三輪はまさしく独り言を発していた。面を付けているので、その声は鏑木に

は届かないというのに。

 しかし、鏑木はその問いが聞こえたかのように、三輪の面に自分の面を付け、

返答した。

 「この樽はこの先洞窟の最奥部まで続いています。その数は私にも正確には

把握していません。ただ、概算で三百万本あります」

 「そんなに・・・」

 三輪はその物量に圧倒され、実際に頭に浮かんだ疑問を脳の片隅においやって

しまっていた。しばらく頭の中を無によって支配されていた三輪だったが、す

ぐに気を取り直した。

 「この樽は一体何です?」

 鏑木はまたも顔をしかめた。

 「これは、汚れた物を封じ込めた樽です。この樽にはいわゆるゴミが詰まっ

ています。しかし、ただのゴミではない。呪いのかけられたゴミです。そのゴ

ミはこれらの服を着ずに近寄れば、その人間に災いをもたらし、また付近にあ

る物質を劣化させて行きます。ほら、このように」

 鏑木はそう言って1つの樽を指さした。

 その樽は底部付近から黒ずんですでに木の組織がぼろぼろになっていた。

 「我々のここでの仕事はこの樽の管理です。腐食してきた樽を新しい物に

取り替え、外に持ち出されたりしないように管理することです」

 三輪は段々気持ちが暗くなってくるのを感じた。

 この遺跡、いや、この施設は一体なんだ?

 『災いの水』や『呪われた樽』。何一つ人間の役に立たないどころか、それ

らは管理されない限り、一地域を破滅に導いてしまう。

 古代の文明は何を考えてこんな物を作ったのか?我ら子孫に対する呪いか?

 それとも何か別の理由があったのか?

 その時である。

 三輪の背後から何者かが急速に近寄ってきた。

 分厚い面と服を着ている三輪には当然のごとく、それには気づきもしなかっ

た。

 その男は三輪の横を通り過ぎ、鏑木に近づいていった。三輪の方を向いてい

た鏑木は三輪より先にその男の接近に気が付いていた。

 その男は三輪や鏑木と同じ面と服を付けていた。

 男は鏑木に近づき面を付けて、何事かを話していた。何か重大な事件が発生

したということが、面を通して鏑木の表情から読みとれた。

 男は鏑木に何かを伝え終わると、元来た方に足早に戻っていった。三輪はそ

の様子を呆然として見ていた。

 やがて鏑木が近づいて来た。そしてその面を三輪の面に接地させた。

 「どうしたんですか、今の男は」

 三輪ははっとした。今まで離れていたので気が付かなかったが、鏑木の顔が

苦悩に歪み震えていたのだ。

 「一体、何があったのです、鏑木さん!」

 「洞窟内の例の水を循環させている動力源である滝の水量が落ちているらし

いのです」

 「なんですって!」

 「どうやら、滝の上流が落石か何かでせき止められたらしいのですが・・・

三輪さん、着いてきて下さい!」

 鏑木はそう言うと、驚いて固まっている三輪を後目に出口に向かって走り出

した。三輪もあわてて後に続くが、なぜあの服と面を付けてここまで俊敏に動

けるのかと不思議に思うくらい鏑木は三輪のかなり先を進んで行った。

 洞窟内では、同じく服と面を付けた男達が慌ただしく右往左往していた。

 鏑木は表に飛び出るとほとんど同時に、三輪と自分の服と面を手早く外し、

洞窟の外から繋がっている山道を登りだした。

   三輪はその後を必死に着いていく。

 しばらく登ったところに川があった。川のほとりには大きめの木造の小屋が

あった。鏑木はその小屋に飛び込むようにして入るとすぐに中にいる男達に叫

んだ。

 「動力系は切り替えたか!」

 「はい!立った今切り替えました」

 「おい、人が少ないんじゃないのか!人員はどうした!」

 「上流の岩石除去に廻したので・・・」

 「馬鹿もの!!」

   その時の鏑木の剣幕に三輪は驚いた。温厚な鏑木がこんなに激昂するとは。

 「岩石の除去とこっちの作業、どちらが大事だと思っているんだ!」

 鏑木は鬼の形相で叱りとばすと、自ら小屋の中央部に向かった。中央部には

大きな軸があり、その軸の廻りに横棒が十字状に組んであった。

 鏑木はその横棒の一つに取り付き、力を入れた。しかし、軸はぴくりとも

動かない。

 「なにやってる!お前らもさっさと取りかからないか!」

 鏑木に叱られて呆然としていた小屋の中にいた男達はその声に弾かれたよう

に一斉に動き、横棒に取り付いた。

 軸は、ぎしりと音を立てて動いた。しかし、それはわずかな物だった。

 その間にあの『蒼い宝石』はどうなっていたか。

 あの美しい光を放出していた湖面から不気味な水泡がいくつも沸き立って

いた。至る所から水泡は沸き立ち、しかもその数は増えていた。

 循環されなくなった『呪われた水』が次第に停滞し出し、熱を発し始めたの

だ。

 蒼さはその輝きを増していた。限界までその美しさを増した蒼光は洞窟内の

氷壁に乱反射し、この世の物とは思えない現象を作り上げた。

 それは危うい美しさだった。遙か中空の一本橋に片足で立っている、そんな

破滅と背中合わせの美しさだった。いや、美しさというのは常に破滅の一歩

手前なのではないか。滅びこそが、美なのではないか。

 炎上する街のあの美しさは何だろう。命が立ち消える時のあのきらめきは

一体、何だったのだろう。

 そして今、ここに輝く蒼い光も、またその類なのだ。

 三輪もあわてて横棒に取り付いた。右肩を棒に入れて、そして力を入れる。

 ぎしり。

 横棒が悲鳴を上げた。三輪の肩に容赦ない加重がかかる。

 軸がゆっくりと回りだした。それと同時に軸棒に噛んでいる歯車が回りだし

どこかにその動力を伝える。

 一度回りだして勢いが付いた軸はその後男達の力によってどんどん回転を

始めた。

 湖面にあふれ始めていた不気味な水泡は次第にその数を減らして行った。

 固定に設置されている循環器が作動し始めたのだ。熱を帯び始めていた『呪

われた水』はその温度を加速度的に下げていった。

 そして、十数分後、湖面は元通りの姿に沈黙した。

 その頃三輪達は、未だ軸棒を廻していた。

 鏑木を含めた村の男達はすでに上半身裸で、汗を滝のように流していた。

 その顔からは疲労の色が見て取れた。しかし、その回し続けるという作業を止め

ることは出来ない。それをやめたとたん、あの洞窟内の湖面は再び沸騰を初め

そして終いにはこの地方一帯を消し飛ばしてしまうからだ。

 三輪の顔にも焦燥感が現れ始めた。

 この単純な力作業は一体、いつまで続ければ良いのだろう。

 ひょっとして上流の岩石除去作業が終わるまでなのだろうか。そうだとした

ら、それはいつ終わるのか。数時間後か、それとも一日後か、はたまた数日後

なのか。   

 その時まで、俺はこの作業を続けていなければならないのだろうか。

 三輪の身体からは汗はすでに出なくなっていた。逆にその唇は乾燥し出し、

身体が寒くなってきたのか震えてきた。

 その時、一人の男が息せき切って小屋の中に入ってきた。

 「終わりました!川をせき止めていた原因を取り除きました!」

 軸棒を廻していた男達は、誰一人として歓声すらも挙げることなく、その場

に崩れ落ちた。

 鏑木だけはよろよろとその二の足で立ち、傍らの男に動力源の切り替えを

指示した。

 なんて理性的だ、と三輪は思った。この疲労困憊の脳でそこまで気が回ると

は。確かに、せっかく岩石除去に成功しても、ここでの動力を切り替えないと

破滅への秒読みが再び始まってしまうからだ。

 三輪もその場に崩れ落ちた。

 



 数分後、三輪は顔に浴びせられた冷水によって、目を覚ました。

 ぼやけた視界の先には鏑木のにやけた笑いがあった。そしてその手には水が

なみなみと湛えられた器が握られていた。

 「三輪さん。ほら、これを」

 三輪は朦朧とした意識の中、ほとんど本能でその器を鏑木から奪い取った。

 水は三輪の腹の中と外側の皮膚に急激に吸い込まれていった。

 「もっと、ゆっくり飲まないと」

 鏑木のその忠告は右の耳から左の耳へと抜けた。そして器の中の水を最後の

一滴を飲み干した時、その器すらも吸い込む勢いだった三輪は呼吸困難に陥った。

 三輪は喉と肺を鳴らしてうずくまった。

 鏑木はその背を無骨な手でさする。

 しばらくしてようやく落ち着いてきた。

 涙をその瞳に湛えた三輪は背をさすっていた鏑木の方に振り向いた。

 「あの、どうなりました?あの、遺跡は・・・」

 鏑木はにっこり笑みを浮かべて答える。

 「もちろん、助かりました。そうでなければ、ここでこんなことしていられ

ません。これも三輪さんのおかげです」

 「そんな。俺なんて・・・」

 「いや、あの時、三輪さんが手を貸してくれていなければ、どうなっていた

ことか」

 鏑木はそう言って頭を下げた。

 「鏑木さん。頭を上げて下さい。そんなことをされるいわれはありません。

あそこで、手を貸さない人間なんていませんよ。なんせ、命が掛かっているの

だから」

 そう言って無理に鏑木の身体を起こそうとした三輪はぎょっ、とした。

 鏑木が涙を流していたからだ。

 涙と鼻水でその顔がぐしゃぐしゃだったからだ。

 「どうしたんですか・・・」

 三輪は声もかすれ気味に問うた。

 「三輪さん、1つお願いがあるのです」

 三輪は訝しげな目を鏑木に向ける。

 「帝都に戻る時、私の娘を一緒に連れていってはくれませんか?」

 「な、なんですって?」

 三輪は手にしていた器を返事した拍子に落とした。

 陶器の器は固い地表で花火の様に砕け散った。

 「お願いです!」

 鏑木は三輪の腰にすがりついた。

 「私の娘を! この村から連れ出して下さい!」

 鏑木のその声は嗚咽に混ざってほとんど聞こえなかった。

 三輪はそんな鏑木を振り払うことも出来ずにただ呆然としているだけであっ

た。

 鏑木はまるでその動作しか出来なくなってしまったかのように、三輪の腰に

すがりつき、次の言葉を繰り返し喚いていた。

 「なぜ我々だけがこんな苦労を背負わなければならないのですか!

 なぜ我々だけがこんな苦労を背負わなければならないのですか!

 なぜ我々だけがこんな苦労を背負わなければならないのですか!」



 その晩、三輪は鏑木の家に泊まった。

 三輪には奥の一室をあてがわれた。

 当然の事ながら寝付かれなかった。

 三輪は布団に入り、暗くなった天上を眺めていた。

   いつまでも保管し続けなければならない樽。

 いつまでも冷やし続けなければならない水。

 その手を休めたとたんに訪れる惨劇。

 終末。

 無限地獄。

 Blue Heven。

 三輪は寝返りうつ。

 なんのことはない。

 古代の遺産などはなかったのだ。

 「借金ですよ、これは」

 鏑木の言った言葉が頭の中で繰り返された。

 言い得て妙だ。

 三輪は思った。

 だいたい調べる必要すらなかったんだ。この村を隔離しているってことは

 国も知っているってことじゃないか。

 それとも、

 隔離する慣習だけが生き残り、その理由は国も忘れてしまっているのか。

 三輪は今度は逆に寝返りをうった。

 眠れなかった。

 当然だ。

 あんな事件があって、あんな火薬庫を抱えているこの村でぐっすり眠れる方が

おかしい。

 三輪は今度はじっと部屋の片隅の闇を凝視した。

 闇をずっと凝視していると、それは次々に様々な姿に変わっていく。

 この村の長老。村の門衛。村の人々。鏑木・・・

 ・・・そして二つの目。

 黒々とした闇の中に白い目が二つ浮いていた。

 三輪の背筋に電流が疾った。

 何かがいる!

 布団からはい上がり、枕元に置いてあった剣にすかさず手を伸ばす。

 すぐに反撃を取れる体勢を取りつつ三輪は、目を凝らした。

 それはうずくまったまま前に出た。

 明かり取りから差し込む月光に照らされその姿が露わになる。

 薄汚れた服を着て、髪も短く、顔もいささか薄汚れたまるで少年のような

少女。

 三輪はそれが誰であるか瞬時にして理解した。そして身体の緊張を解く。

 三輪はその闇に向かって言葉を放った。

 「そんなところで、何をしている」

 それは鏑木の娘であった。

 確かリサという名前だったか。

 リサは三輪の問いに答えようともせずに、四つん這いになって三輪の方に

にじり寄ってきた。

 なんだ。これは一体、どういうことだ? 夜這いか? 

 その時、先ほどの鏑木の姿が想起される。

 「娘を帝都に連れていって下さい!」

 色仕掛けを仕掛けようという腹か。

 三輪は瞬時にそう判断し、心の中で感情と理性の天秤が揺れた。

 だが近寄ってきたリサは初めてあった時と同じような瞳をしていた。

 その瞳は月明かりの中で真っ直ぐに三輪に向けられていた。

 あまりにも真っ直ぐ過ぎて、その瞳をまともに捉えるのは苦しい程であった。

 そしてその瞳を探った時、三輪は自分の考えが誤っていたことに気が付いた。

 この瞳は打算的な瞳ではない。

 そう思ったのだ。

 リサは口を開いた。

 「おもて・・・」

 「うん?」

 三輪は続きを促す。

 「・・・おもての世界ってどんなところ?」

 三輪は頭をひねった。

 そうか。この村から出ることが出来ないから、村の外を『おもて』と表現し

ているのだ。

 三輪は言った。

 「たくさんの荒れ地とたくさんの森林とたくさんの海と少しの街」

 三輪は剣を置いた。警戒を解いたのだ。そして、布団の上に胡座を組む。

 リサは何か夢見るように中空を見つめて、吐き出すように言った。

 「行ってみたい」

 三輪はそんなリサを横目で見ながら

 「どうせ、2・3年もしたら飽きるよ」

 と言った。

 「それでも、ここよりはまし。だっていつも同じ人、同じ山、同じ村、同じ

道、同じ空、同じ空気。つまらない」

 「その日常が好きな人もいるんだぜ」

 リサは首を振った。

 そして

 「帝都ってどんなとこ?」

 と聞いた。

 三輪はしぶしぶ話した。

 諸国から集まってくるいろいろな人種の人間。市場に並ぶ見たこともないよ

うな果物、野菜。固く石で敷き詰められた道路。そこを整列して通る兵隊達。

 隙間無く並ぶ家々。荘厳な中央研究施設。知性を湛えた学者たち・・・

 ついつい三輪も話す内に興が高じてきてしまった。帝都の解説に熱が入る。

 そんな自分に気が付いたのか、三輪は話の途中ではっとして口をつぐんでし

まった。

 リサは不信気な目で三輪を見る。

 「どうしたの?」

 三輪は視線を落として言った。

 「・・・そんないいところじゃあないよ」

 「でも、今、聞いた感じだと凄いところみたい」

 「どんな所だって嫌なことはあるさ」

 三輪はリサの瞳を真っ直ぐに見た。

 「君はここから逃げたいだけなんじゃないのかい?」

 リサはきょとんとして首を傾げる。

 「ここから逃げたいだけなら、外に出るのはやめた方がいい。外に出ても、

またそこから逃げたくなるだけだから」

 リサは悲しげな表情をした。

 三輪は、言わなければ良かった、と思い、くるりとリサに背を向けた。

 そして布団をかぶった。

 しばらくしてから三輪の背後から、リサが部屋から出る衣擦れの音が聞こえ

た。

 その後、部屋はしんとした。

 月明かりが白々と差し込むだけであった。

   



 三輪は坂を登り切った。

 最初、通った峠にたどり着いたのだった。

 途中、村に入るときに出会った衛兵の2人にあった。

 相変わらず何も喋らず、無骨な表情をしていたが、三輪にはその目が心なし

か悲しげに見えた。

 峠に立った三輪は思わず後ろを振り向く。

 その2人はもうすでに影形も見えない。

 村が来たときと同じように見えるだけだ。

 森林に囲まれた中にぽっかり拓けた何も生えることのない赤茶けた土地。

 永遠の戒めを掛けられた人々が住む点在する家屋。

 あちらこちらに立ちのぼる、人々炊いでいる諦めの日常の煙。

 そして村のどこかにある、あの呪われた洞窟。

 三輪はため息をついた。

 まるで悪夢のようだった。いや、悪夢だってここまで酷くはない。

目に見えない何かが、ゆっくりと膨大な時を越え、凄まじい重量でもって、

この村を押しつぶそうとしている。

 その時、三輪の背後でがさっと樹木が揺れる音がした。

 三輪は反射的に振り向く。

 それは少女だった。

 鏑木リサであった。

 初め会った時と同じく、薄汚れた服を着て、髪も短く、顔もいささか泥まみ

れであったが、唯一異なるのは、その背に荷物が担がれていることだ。

 三輪はその目を見た。

 部屋で会った時の目とは違っていた。

 そして、綺麗だな、と思った。

 その瞳の美しさにである。

 その瞳にはこれから出会うであろう見たこともない場所や人々や経験を待ち

望んで、期待に満ちた輝きを秘めていた。

 三輪は

 「ああ」

と感嘆の声を漏らした。

 たぶん、これこそが宝石なんだろう。

 『希望』こそが宝石。

 『絶望』が宝石であるはずなどは無かったのだ。

 三輪はふっと笑った。そして口を開く。

 「行こう」

 なぜ、そんなことを言ってしまったのか、三輪にも分からなかった。

 ただ、リサの瞳を見ていたら自然と口をついて出てしまったのだ。

 リサは少年の様に首をこくんと前後に動かすと、三輪の側に寄った。

 三輪は帝都に入る際に必要な書類の膨大さを考えて少し意気が消沈しかかっ

たが、少女の前途に広がる未来を思い浮かべ微笑んだ。

 空は青く晴れ渡っていた。



死の灰の液は膨大な熱と放射能のため、いつ爆発するか分からないおそるべき

危険物である。いまのところ、これを処分する方法は見つかってはいないが、

ともかく、少なくとも100年間はかきまぜ、絶えず冷却していなけれ

ば爆発する。〜中略〜100年後は安全かというとそうではない。数十万年

は監視する必要があるほど放射能は強い。

「東京に原発を!」(広瀬隆 集英社)より引用


あとがき
 一種のファンタジー小説ですね。読み返すと椎名誠さんの影響を受けている気がします。

 この話を書いているときは予想もしなかったのですが、悲しい事故が起こってしまいました。

 事故に遭遇なされた全ての方々に、お悔やみを申し上げるとともに、事故の早期収束をお祈り申し上げます。