恋人レッスン 

あとがき

作 山下泰昌



  みなさま、約三年というとんでもなく長期に渡った不定期連載『恋人レッスン』に最後までおつき合い頂きありがとうございました。
 なんか長ーい宿題を終わらしたような気分でほっとしています。
 連載を始めた当初は一月か二月に一回ペースで書き上げて行くつもりでいたんですが、僕の場合は六月〜十一月の中断時期をどうしても挟んでしまう上に、2002年は賞への投稿の方に力を入れていた関係上こんなにだらだらと続ける形になってしまいました。
 堅苦しい小説ばかりだったこのホームページに、「たくさんの人が読んでくれるようなライト感覚のラブコメものを連載したい」というコンセプトで始めた『恋人レッスン』でしたが、なんだかんだで僕に三つのことを教えてくれた話でした。
 まず、『不特定多数の第三者からの期待』というプレッシャー下の中で書くということ。
 これは今までオフラインで一人で書いていた僕にとっては初めての経験でした。
 一話、二話、三話と続ける内に『楽園』の票数も上がってきて、応援メールもたくさん頂いたりして「うわっ。だんだん適当なものは書けなくなって来たぞ」と思いました。おおっと、もちろん初めから適当に書こうとは思っていないですけどね。執筆間隔が少しずつ開いてきたのもそのプレッシャーのせいだったかも知れません。でも後半はそのプレッシャーにも慣れてきて、逆にモチベーションを再び上昇させるためにも役立ったりしましたので、何事も経験ですね。
 二つ目は一つ目にも繋がることですが、『続けることの難しさ』ですね。当初、「全十話(初めは九話構成ではなかったのです)くらいならどうにかなるだろう」と高をくくっていたのですが、いざ始めてみるととてもとても。
 連載を進めれば進めるほどモチベーションが下がってくるのが分かるのです。そのモチベーションを維持することがかなり大変でした。おまけに頭の中ではもう話は完結してしまっているので、新しい話を書きたくなって困りました。実際、何回か浮気しましたけどね。
 また、いろいろな書評ページで『恋人レッスン』について細かく分析された批評を見てしまうと、だんだん「あれ? 俺この話、どういうつもりで書き始めたんだっけ?」と分からなくなってしまうことも多々ありました。最後の二話は本当、気合いで書きました。
 三つ目が、これが大きいのですが、僕に「物語を組み立てること」を教えてくれたということです。この『恋人レッスン』を始めるまでは、僕は頭から最後まで物語のアイデアが浮かんでいるものでないと書き出さなかったのですが、この『恋人レッスン』では初めて一から物語を組み立てるということを経験しました。
 話数でいうと5話、6話、7話、8話、9話がそれに当たります。1話〜4話は連載前からプロットが出来上がっていたので問題なかったのですが、(8話、9話も大筋は出来ていましたが)5話はかなり難産でした。バレンタインの話だったので、どうしても立石側のエピソードも入れなければならなかった都合、三人称を混ぜなければならなかったこととか、ラストへの展開とかかなり不満は残っています。6話以降はあまり戸惑いはありませんでした。やっぱりこれも経験でしょうか。おかげでこの物語の組立方などは投稿小説の方にも生かされており連載して無駄ではなかったなあ、と感慨しきりです。
 あと最後ですので裏話的なものを少し。
 結局最後まで飯尾は真美のことを「立石」と呼称していましたが、これは本当は美奈が登場した次の回から「真美」と名前で呼ばせるつもりだったんです。でも、何かそれこそ柄じゃあないって感じでひたすら名字での呼称となってしまいました。途中から呼称を変えるのってなんか彼氏面・彼女面をしているようでなんか嫌だったのですね。
 あと、「ギャルゲー」みたいというご批評を頂いたのですが、今から思い返してみると、あまりゲームは意識して書いてはいませんでした。どちらかというと「少女コミックス」を意識して書いていた向きはあります。女性が読んでも違和感が無いものという前提で書いていたので飯尾君がちょっとフェミニストぽかったかも知れませんね。男にしては少しいい子過ぎたかも。次、何かラブコメ書くときは自己中な男を造型してみたいなあ。
 ……うーん。なんだかあとがきなのかなんだか分からなくなってしまいましたが、これで『恋人レッスン』も終了です。
 メールや掲示板でご声援、叱咤激励してくださった皆様、楽園で投票、並びにひとこと感想を下さった皆様、ノベルサーチで投票してくださった皆様、書評ページでご批評してくださった皆様、リアルワールドでご意見を下さった皆様、、ご自分のキャラを貸してくださった皆様、あと、リンクを張って下さった皆様。
 皆様の応援がなければこの『恋人レッスン』は到底最後まで書き上げられなかった話です。いくら感謝しつくしてもしつくきれません。これは一人でオフラインで小説を書いていたら経験出来なかったことでしょうね。

 本当、ありがとうございました!!