1997年6月12日更新
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今日のひとこと
1997年6月12日
1997年6月11日に放映された『何でも鑑定団』の「幻の一品」のコーナーで、「東山のオオルリシジミを一匹10万円で買います」ということを言った方がおられるそうです。
新宿で『蝶屋』を経営していると言っておられたとか・・・・ということは、あの『蝶屋』(昆虫ショップ情報参照)のオーナーでしょうか?
・・・もっとも私は行ったこと、ありませんけど・・・・。
で、この番組を見た私の友人が、早速「東山のルリシジミ持ってない??」と電話してきました。そう、に目が眩んだのです!
・・・これだから、シロートは困る・・・?!
「ルリシジミじゃなくて、オオルリシジミでしょ?」と答えてから、話を聞くとどうも上記のような番組だったようです。
私は番組を見ていないのでよくわかりませんが、「東山」ってのは何処なんでしょう? 友人の話では長野の塩尻に近いところ(?)とか言っていましたが、いずれにせよ、今はもう採れませんね。
オオルリシジミは、幼虫がクララというマメ科植物の花を食べるので、クララが生えている草原などに生息しています。
1960年代には、東北(青森・岩手)、中部(長野県とその周辺)、九州(久住・阿蘇)に分布し、局地的にしか見られないものの、産地では決して少ないチョウではなかったようです。
しかし、1970年代に入ってから急激に衰亡し、青森・岩手両県では絶滅した可能性が高く、中部地方でもほとんど見られなくなりました。唯一、まとまった個体数が見られるのは阿蘇地方ですが、ここもずーと見られるという保証はありません。
という訳で、東山のオオルリシジミが長野の絶滅した産地のものであるなら、確かに貴重ではあると思いますが、だからといって1頭10万円で買いますと、テレビで宣伝しないで欲しいと思います。
一般の人は、すぐチョウが高い値段で取引されていると考えてしまうので、蝶屋(「チョウをやっている人」という意味)はみなチョウを売ってお金儲けをしていると、ゴカイされてしまいます。これは、はっきり言って迷惑です。
また、オオルリシジミをオオクワガタと同じように考えて、採りまくる人が出てこないとも限りません。
・・・もっともそんなことをしても、とても儲かるとは思えませんが。でも、いずれにしても、採集を自粛して保護しましょうという活動をしているときに、こんな刺激的な発言をテレビでやられるとたまったものではありません。
テレビに登場した方は「1頭10万円で買う」と言っただけのようです。これを見た視聴者は、「10頭で100万、100頭で1,000万、・・・」と思ったに違いありませんが、もし、10頭もあったら、1頭当たりの値段は暴落します。もし100頭もあったら、100頭で10万円になるかどうか、怪しいものです。
というわけで、東山のオオルリシジミが仮にいたとしても、お金儲けにはつながらないことだけは保証します。
テレビに出てこういう話をする人にもあきれますが、こんなネタを喜んで放映するテレビ局やこの手の記事を好んで書く新聞社にも困ったものです。
最後に、忠告:
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