00-06-15


 レーザ屈折矯正手術の問題

日本大学 眼科教授 澤 充

  エキシマレーザはPRK,LASIKで明ら かなように角膜を一定の形状に切削加 工することを可能にした。屈折矯正は 屈折状態の微妙な調整が要求されるも のであり、これは手術全般についても 該当する問題である。しかし、現在の エキシマレーザ屈折矯正手術を含む屈 折手術は遠視化のみが可能であり、近 視化がでさないことがあげられる。近 視化は切削デザインにより可能であ り、現在、遠視矯正の臨床試験が行わ れているのも事実であるが、角膜の厚 みと組織の特性の点から角膜屈折矯正 手術を行った角膜に対して全く異なる デザインの手術を重複して行うことが 可能かについては疑問点が多い。従っ てどのように遠視化と近視化の可逆性 を可能にするかが重要な課題である。
 一方、PRKとLASIKとの比較からい えることは上皮層の温存は自覚症状、 他党所見の改善での利点がある。従っ て角膜上皮を剥離し、角膜フラップを 作製するのではなく角膜上皮をインタ クトに保ったまま実質層に焦点を合わ せて切削できる方法、レーザの開発は 新しい屈折矯正手術法と成りうる。
 しかし、佐藤氏手術の経験を有する 我が国では屈折矯正手術に対して慎重 な立場をとる眼科専門医も多く、手術 の角膜および眼組織への直接、間接の 影響および長期経過の重要性が重視さ れている。また屈折異常は一つの結像 系での問題であり、物を両眼で正しく 認識するという視機能全体で考えるこ との重要性から、非可逆的手術に対す る問題点への認識も重要である。屈折 矯正手術が我が国でうけいれられるに はこうした問題の認識と解決が不可欠 である。

オプトニュース1999 No.5 エキシマレーザーと眼科医療 の一部 光産業技術振興協会発行より


エキシマレーザー手術装置

工キシマレーザー手術装置の認可

平成11年12月8日付けで 中央薬事審議会は新規医療用具として 工キシマレーザー手術装置の使用が承認されている。治療対象は治療的角膜切除術(PTK):角膜表層の病変部の切除 および角膜屈折矯正手術(PRK):遠視及び遠視性乱視を除く屈折異常の矯正 である。

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