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アサギマダラ・ニュース No.49

            

アサギマダラ大移動研究会

        〒890 鹿児島市明和4−5−32 福田晴夫方
1997年9月20日発行
TEL&FAX.099-***-****, E-mail:tefutefu@po.synapse.or.jp



秋の南下シーズンを迎えて

各地の夏のマーキング情報−−本州勢がんばる!

神奈川県:
  箱根町駒が岳では8月24日、日本昆虫協会主催のマーキング会があり、50頭にマークされた。埼玉県の柴円直之さんからの情報。

群馬県:
  赤城山の赤城自然公園では9月中旬から10月にアサギマダラが見られるのでマーキングを始めるとのこと。同園の金子順一郎さんからの連絡。

長野県:
  松本市美ヶ原では自然保護センターの橋本 肇さんらがマーキングを開始された。このマーク虫を再捕獲された大町山岳博物館の清水博文さんから電話があった。

静岡市:
  井川「県民の森」では8月23−24日、静岡昆虫同好会、鱗翅学会東海支部のマーキング会があり100頭以上が放された。これに参加した三重の中西元男さんからの連絡。

愛知県:
  窪田宣和さんは日本生物教育会全国大会(8月、仙台市)で「アサギマダラの渡り−蔵王山から愛知県に飛んだ蝶−」を発表され、長野県武石村や宮城県蔵王町でマークして帰られた。自分のマーク虫を自分で再捕獲する時代になるか! 協力者も増えて頼もしいとのこと。

近畿:
  大阪の「アサギマダラ情報」(Nb.195−198)によると、滋賀県比良山地、紀伊半島の金剛山などで7−8月すごい数の(ゆうに3桁の)マーク虫が放され、夏の近距離・中距離の移動もすでに確認されている。中でも単独テント生活4泊5日のマーキングを敢行した内田 孝さんの頑張りはすごい。これを無にしたくないもの。

九州:
  宮崎県鰐塚山で7月下旬、恒例のマーキング会があり、600頭ほどマークされた。本年は秋にもこの会を実施すると、日向市の木野田 毅さんのメールがあった。なお、鹿児島県紫尾山のマーキングは地震による道路決壊のため今年は出来なかった。

 この他にも多くのマーク虫が本州、四国、九州の山地から動き始めているはずだし、低地で待ち受ける人も多かろう。さて、南下個体の長距離移動個体の再捕獲となれば、南西諸島から台湾の人たち、よろしく頼みます。

 そういえば石垣島の渡辺賢一先生から、八重山高校生物部で今年から「迷蝶の研究」に取り組み始めたが、何か視点は?・・・というハガキが届いたので、早速、アサギマダラも加えてとお願いしておいた。南西諸島には島外からアサギマダラを目的に乗り込む人も増えてよい。

 秋のポイントは、時期、天候、時間のほかに、地形と吸蜜植物だろう。渡りの途中なら海岸付近の樹林が馬鹿にならない。岬状になっていて花か食草があれば申し分なし。飛び立ちを見るなら早朝か。でも初夏の北上は夕方飛び立って夜に渡る可能性だって捨て切れない? マーク虫を再捕獲するなら秋の草花、アザミ類、ヒヨドリバナ、コセンダングサなどから初冬のツワプキまで、とにかく草刈りを免れた路傍の吸蜜植物を探すこと。役場か地元の人に説明して草刈りを待ってもらうのが最良ではある。


台湾でマーク虫が放された!

 本紙の呼びかけに早速応じてくれた人は高雄県六亀の陳文龍さん。1997年の記録は次の通り。

  4月2日 アサギマダラ(4頭)、タイワンアサギマダラ(7頭)
  4月8日 アサギマダラ(3)、タイワンアサギマダラ(12)
 以上は冬越しの蝶、以下は新鮮な個体です。
  5月12日 アサギマダラ(2)、タイワンアサギマダラ(8)
  5月22日 アサギマダラ(2)、タイワンアサギマダラ(7)


春の北上個体の再捕獲は今年もゼロ

  

努力はしているのに……ポイントがつかめない

名古屋昆虫館の岡田正哉氏から
  「今春ギフチョウ採集に出かけた幾人かの知人よりアサギマダラを目撃・採集したとの話を聞いており、今年のアサギマダラ北上個体は多いのではないか、と考えていました。捕獲例は、長野県大桑村(5月17日、1頭)、同白馬村(5月10日、1♂)、岐阜県荘川村(5月10日、1頭)。いずれも内陸、高地で、時期的に見ても、南方暖地からの飛来と思われます」
               (鹿児島の田中洋氏あて)

愛知県知多半島では
  5月4日、16日、20日に少数がチェックされた。
               (窪田宣和氏より)

三重県鳥羽市菅島では
  5月25日1頭目撃、愛知県渥実、伊良湖岬ではゼロ。”再捕のポイントが絞り込めなくて歯がゆい限りです”。
               (中西元男氏より)

滋賀県比良山では
  「比良索道の職員によると、アサギマダラの初認は5月8日で、以後連日のように観察されています。オオカモメヅルとイケマヘの産卵は18日が最初でした。例年よりかなり早いアサギマダラの到着と活動ぶりに驚いています。今週末再び訪れますが、この様子では、多くの個体は北上した後ではないかと心配しています。一昨々年の春、比良山スキー場塊で”数百頭の群れ”が見られたという、夢のような現象に出会うのは不可能だと思っています」
               (内田孝氏からのFAX.)


魔法の花、スイゼンジナを植えよう


 初夏のポイントを作る。九州以北で誘引する花スイゼンジナを5月に咲かせるには、冬の保温が必要であるが、簡単なビニールハウスでいけるかも知れない。ちなみに、この植物はなんと金沢市の目玉野菜になっている。パンフレットにいわく「金時学(きんじそう)は、一般には水前寺菜と呼ばれており、江戸時代に金沢に伝えられたといわれています。葉の裏が鮮やかな赤紫色で、草丈50−60センチの多年草です。挿し木で増やしていき、8月から霜の降りる11月まで収穫できます。酢の物でさっぱりと食べるのが一般的で、ぬるぬるした独特の風味が親しまれています。現在、山間地の特産物として栽培されています」
             金沢市農業センターは Tel.0762−49−2744


パソコンによる「アサギネット」

 長岡京市の藤井 恒氏のところで本格的な実用化が近い。インターネットで「アサギマダラ情報」というホームページが公開されており、マーキングの方法や「アサギマダラ・ニュース」のバックナンバーなとも読むことが出来るようになる。

                 (本号の文責:福田 晴夫)

発行不定期、会費不要、投稿・情報歓迎。本紙の入手希望者は、封筒に80円切手を貼り、自分のアドレスを記入して送っておくこと。(いま封筒会員がちょっと少なく、鹿児島昆虫同好会にも寄生しています。よろしく)



 このページは、「アサギマダラ大移動研究会」発行のアサギマダラ・ニュースの内容を、インターネット版として掲載したものです。ただし、プライバシー保護のため、投稿者(情報提供者)の住所等は省略表示してあります。
 このページは「アサギマダラ大移動研究会」の福田晴夫さんの全面的なご協力によって、作成したものです。この場を借りて、お礼申し上げます。

 アサギマダラの移動に興味をもたれた方は、是非、マーキング調査に御参加下さい。簡単なやり方を覚えれば、誰でも参加できます。マーキングの仕方は、近日中にこのホームページで紹介する予定です。
 なお、このページならびにアサギマダラに関するご質問、お問い合わせは 
藤井 恒 または 福田晴夫さん までお願いします。


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