−ミラーちゃんとミニーちゃんのこと−

 パパから紹介されたのは“女中”という今の日本では死語になっているミラーちゃんとミニーちゃん。
 ミラーちゃんはバリ島で生まれて、そのすぐ近くのバンユワンギという所に夫と息子、娘、親族がいる。でも、いろいろな家庭の事情で今、ミラーちゃんはここに住んで食事、洗濯、掃除の他、パパの足のマッサージもしている、40代のやさしい私のママ。
 ミニーちゃんはユニテックスで3交替で働きながら、家事も手伝っている27才の可愛い女の子。日本語も大好きで、少し解る。時間のある時は、いつも私のそばで折紙や料理を一緒に作ったり、買物に行ったり、歌を唱ったりで、まるで姉妹。
 でも2人共、普段は私と一緒に同じテーブルで食事をしたことはなく、私がスキヤキPartyをした時や茶道をした時だけは一番のお客さんのようにしていた。
 彼女達がいつも唱ってくれた歌は、“私の帽子は丸い”という
トッピー サヤー ブンダール、 ブンダール トッピー サヤー
カロー ティダー ブンダール、 ブカン トッピー サヤー

とか、“可愛いあの子は誰のもの”という

ノーナ マニス シアパ ヤンプーニャー
ノーナ マニス シアパ ヤンプーニャー
ノーナ マニス シアパ ヤンプーニャー
ティダ アーダ ヤーンプニャー
という歌で、いつのまにか口づさみ唄えるようになってしまった。
 帰る日(日本へ)の朝、ミニーちゃんとミラーちゃんが私のそばに来て、今まで聞いたことのない歌を何度も唱ってくれる。なんだかカッパン カッパンばかりきこえて、あとはお経のようだった。でも2人が何度もそして真剣に唱うので、アパ イトゥ カッパン?とかたづねると、この歌の意味が段々と解明されてきて、その意味は大体“今日ワカチャンは帰ってしまうけど、私達は一緒にジャランジャラン(散歩)もしたし、一緒に料理も作ったし、一緒に唱ったし、沢山のことを一緒にしたね!!ワカチャンは明日から、もうここにはいないけど、でもワカチャンはずーっと私達と一緒にここにいるからね。いつかきっと、又帰ってきてね。又、きっと会えるよね!!”ということだったのです。この意味が解った時、ドッと涙が溢れてきてミニーちゃんもミラーちゃんもみんな泣きました。

−ジャカルタへ出発‥‥‥それから−

 大泣きしながらホストと別れている人や、明るい笑顔で手を振っている人などさまざまだけれど、心の中は皆同じ想いでいっぱいだった。
それは、“ テリマカシー バニャク ”

 さて、ジャカルタはボゴールからきた人にとっては大都会。ウィサタホテルに到着後、サレーさん夫妻を先頭にみんなでサリーナデパート(国営なのでバティック他何でも安い)へジャランジャラン。
 自分達の足で歩き、危険じゃないように五感全部を働かせながら買物をするのも楽しいけれど、誰もがホストファミリーと一緒の時の居心地の良さを懐かしんでいた。
 私にとってジャカルタで一番嬉しかったことは、サレーさんやバスキさん、イズマジさんとの再会のこと。  “AOTSのカンムリの人達(イズマジ会長やバスキさん達)は、あまりヒッポのことを心底から解ろうとしないし、あまりかかわってくれない人達だから、ヒッポからのお土産(クッキーetc.)も、実際にもっと献身的にやってくれているAOTSの人がいればその人に渡して欲しい”と、ポッキーに言われてきたのだけれど、昨晩ボゴールでのPartyのおかげで、イズマジ会長もバスキさんもジャカルタで私達を待ちかまえていて、何と私の顔を見るなり“ワカチャン!”と叫んで手を振って、一緒に食事をした時には、もう何年も前からの友達のような親しさで、ほんとうに驚いてしまった。(あの1回のHIPPO Partyでこんなにも近くなれる!!)
 そして、自分達も日本へ行ったらホームステイをしたい。ぜひ、自分達の息子や娘をホームステイさせたいetc.‥‥‥
 その時、イズマジ会長に“観光ではなく、ヒッポの活動をシェアーするホームステイに来て下さいね。ヒッポはどの言葉も同じ人間のことば‥‥‥インドネシア語もフランス語も英語も日本語も‥‥‥みんな赤ちゃんがことばを見つけてゆくところを通って、そのことばを通して人に出会っていった時、ホントに同じ人間同志ということがよく解るし、とっても仲良しになれるんです。”と言ったところ、彼はじっと私の目を見ながら“それは美しい!!まず自分の娘を送りましょう!!”と言ったのです。
 そして、私達のバスが空港へ向かって見えなくなるまで、バスキさんは奥様と息子も連れて一緒に、サレーさんは空港まで一緒に、他AOTSの人達3人がずーっと手を振って見送って下さったのです。
 その時私は、“上手にしゃべる”(みんなよく、もっと上手にしゃべりたいって言うけど‥‥‥)ということと、“人と人をつなぐことば”のことを考えさせられていたのです。

ショッピング写真(左):ジャカルタの街を歩く。ホテルからサリーナデパートへ向かう面々。(photo by コキリ)
ショッピング2写真(右):ここは、SOGOデパート。わぁー、近代的。なんでもあるや・・・。(photo by コキリ)

夜のジャカルタ写真(左):夜のジャカルタの街。SOGOデパートで買い物をしてホテルへ帰る面々。ジャカルタはさすがに大都会を感じるけど、ボゴールがなつかしかった。(photo by コキリ)

(続く)

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