レーザー安全関連

2005-03-4追加


JIS C 6802「レーザ製品の安全基準」が平成17年1月20日付けで改正されました。
 今回の改正は 光化学反応による網膜傷害や,エネルギ- 総量は大きくとも密度が小さい(ビーム径が大きい)場合などの配慮がなされて、 大幅な変更になっています。 クラス分けも 従来の5つから 7つに変わりました。クラス2およびクラス3Aの一部のMPEが緩和されています。 詳細については 新JIS規格を ご覧下さい。
   レーザ製品の安全基準 JIS C 6802:2005 は日本規格協会にて発行されています。   財団法人 日本規格協会
   レーザ安全ガイドブック第4版 2006 光産業技術振興協会も参照  

LEDの安全基準
LEDは現行ではレーザ安全基準が適用されているが、IEC(国際委員会) では LEDの適用除外が決定され国際規格改定の作業が進んでいる。(村野元宏、標準化ニュース77号2004) 光産業技術振興協会
新レーザークラス分け
日本におけるレーザー眼外傷
上條由美、小澤哲磨
眼科臨床医報 97:No2, 95-100,2003
 下記の英文のレーザー事故報告の続報で1096〜2001年の13症例 を追加したもので学会報告例 計43例について検討を加えている。
近年は大学研究室での事故が多い様である。その結語を掲載する。
        X 結     語
 日本におけるレーザー眼外傷43例50眼を検討した。ほ とんどの事故は,研究室で実験中に発生し,事故をおこ した人は,大学関係者(職員,大学院生および学生)と 研究員が多かった。
事故は光軸調整の時におこりやす く,微妙な操作を過ってレーザー光がずれて,側壁等に 反射して予期せぬ方向に進路を変えて受像していること が多い。
事故をおこしたレーザーの種類は, Nd:YAG レーザーがもっとも多く,その他にチタンサファイヤレ ーザー, アルゴンレーザーなどがあった。レーザーによ る眼障害ほ,硝子体出血,黄斑円孔,網膜出血などがあ るが,後極部の硝子体出血ほ長引かず,吸収が早い特徴 があった。
キーワード:レーザー眼障害, Nd:YAGレーザー,アルゴンレーザー,安全対策


特集 レーザーを安全に使うために
O puls E 2001年7月号
Vol.25  No.7 通巻第260号 発行所 (株)新技術コミュニケーションズ

 医学的見地からの安全・・-・・-・・・・----・-・・-
     横浜逓信病院 小澤哲磨
 目はレーザー光に弱い: レーザー光は非常に短いパルスとして放射する事が容易なことが特徴の一つである。 平均出力が数mWと豆球にも劣るような小さなものでもピーク出力は その数億倍にもなり得るので、 生体組織は容易に傷害されてしまう。 更にレーザー光は波長の10倍程度の径までレンズ系で容易に集光する事が 可能であるため、皮膚面への照射では何も感じないレーザーポインター程度 の光でも 網膜面上では太陽光より10倍もエネルギー密度が大きくなり、 傷害を生じてしまう。
更に悪いことには、眼の大部分の組織は再生する 能力が無いので、傷害を受けると視機能の回復が望めないこととなる。
この機会にもう一度、安全確認をしてもらいたい。

レーザーの新しいクラス分けと測定法・----・--
     産業技術総合研究所 挟間寿文
 製造者のためのレーザー安全対策・-・-・・-・--
      インデコ 石川 憲
 ユーザーのためのレーザー安全対策・-・----
     エムテック 橘川 彪
 光ファイバー通信における安全基準と対策・--・
     防衛大学校 猿渡正俊
 加工時の安全対策・--・・--・---・-・----
     中央大学 新井武ニ
 レーザービーム溶接機からの危険な広帯域放射線
     サイバースドルフ カール・シュールメイスター
     光産業技術振興協会 稲垣 昂(訳)
 LEDの安全対策・--・・・-----・------
      ソニー 村野元宏      


   

青色発光ダイオード光による網膜障害 01-10-20

 小出 良平1),植田 孝子2),William W Dawson3),George M Hope3),Ann Ellis4) Don Samuelson4),植田 俊彦1),岩測 成祐1),福田 紹平1),松石 美応1) 安原 -2),小津 哲磨1),Donald Armstrongl)4)
 1)昭和大学医学部眼科学教室, 2)昭和大学医学部第二薬理学教室 3)Department of Ophthalmology, College of Medicine, University of Florida 4)Department of Small Animal Clinical Sciences, College of Veterinary Medicine, University of Florida
 要  約
  目 的:サル網膜での青色(460nm)発光ダイオード(LED)光の照射による網膜障害の程度について検討した.   対象と方法:成熟雄アカゲザルに,麻酔下青色LED  光をスリットランプで照射した.角膜直前に設置したレ  ンズを通し網膜上に直径3mm(0.85mW)の円形像を  作った.経時的に12-90分照射による障害を測定した.  眼底写真,蛍光眼底造影(FAG),網膜トモグラフィお  よび短波長網膜電図を照射前, 2および30日後に測定  した.
  結 果:40分照射2日後に照射部に一致した色素脱  出斑, FAGによる過蛍光,網膜厚の増加と網膜電図の  変化が増加した. 90分照射30日後,視細胞ディスクの  崩壊,網膜色素上皮細胞からのメラニンの消失と尖端繊  毛の障害があった.
  結 論:開催は40分と推測される.形態学的障害は  機能障害を招く可能性があり,継続的青色LED光照射  は視覚障害をもたらす可能性のあることが推定された.  (日眼会誌105 : 687-695, 2001)
 キーワード:青色光,発光ダイオード,網膜光障害

Laser-induced Eye Injuries in Japan

RYOUHEI KOIDET,YUKIKO KORA, MAKI SHIKANO,TAMOTSU SEKI, MAKOTO INATOMl and TETSUMA OZAWA

Department of Ophthalmology, Showa University School of Medicine, 1-5-8 Hatanodai, Tokyo, Japan

We studied 29 cases (30 eyes) to know the common characteristics and circumstances of laser instrument-related industrial accidents. The most common occupation of those injured was research worker (15 cases). The most common place of accidents was the laboratory room, accounting for 24 cases and also the use of YAG laser were most common in Japan (l8 cases). The cases with the injuries on the fovea had poor visual acuity. None of the injured individuals wore protective eyewear at the time of injury. The present safety requirements in the laboratory should change in the near future.

Keywords: Industrial laser accidents; Eye; Protective eyewear; Laser safety

Lasers in the Life Sciences, Vo1. 9, pp. 69-80,2000

日本での産業用レーザによる傷害例 (学会抄録,論文) 29例 (1996年までのもの)を集め諸外国との比較等の考察を加えたものである。


  レーザーポインターの照射で黄斑部の器質的傷害が認められた初めての1例

Laser Pointer Maculopathy
Ehud Zamir, MD, lgor Keiserman, MD, and ltay Chowers, MD
Amer. J. Ophthalmol 127 (6) : 728-729, 1999
10秒間 レーザーを見た。視力0.5 で 最終視力は1.0に回復。   

YAGレーザーによる5人連続誤照射の症例

                 

      眼科ME学会1998/11/1 抄録より ( 原著 : あたらしい眼科 16:568-572,1999)

  上條由美、小澤哲磨(横浜逓信病院眼科)、三方修、稲富誠、小出良平(昭和大学眼科)
  
今回我々は、YAGレーザーの実験中に、5人がつぎつぎに誤照射した眼障害例を経験したのでここに報告する. このように連続して5人が両眼にレーザーを照射したのは、世界的にも過去に 報告がない珍しい事故例です.
症例は、22歳から29歳の5人の男性で、平成9年11月6日工学部でのYAGレーザーの実験中に発生した. 観察中、よく見えないので別の人代わって、誤照射とは思わず次々と計4人の観察者が 代わって観察窓をのぞいた. 残る1名は光路に異常があるとのことで、調整を しようとした。そのとき入射窓付近よりの反射光にて受傷した。
これら一連の交代で、全員が両眼を受傷し黄斑部に光凝固斑が認められた. 症例1から3は軽傷で、初診時矯正視力が0.9以上あり、軽度出血や浮腫が認められたが、内服によって軽快した.
症例 4は、初診時視力は、右(1.2)、左(0.3)、症例5は、右(0.7)、左(0.06)であった. 両眼の黄斑部に強い浮腫が認められた.
その後両症例は、黄珠部の浮腫の強い方の眼は黄斑円孔となりそれぞれ右(1.2)、左(0.4)、右(0.7)、左(0.06)となった. 同時に複数の人がレーザー照射を受けたが、凝固斑の程度により、出血、浮腫、黄斑円孔と多様な網膜障害が認められた. 時間的経過にともない、浮腫の強い症例は黄斑円孔となり非可逆性障害をもたらした.

眼底写真 


日本の産業用レ−ザ−における眼障害

                 
 99-09-25更新

1.症例と眼底写真
2.日本産業交通眼科学会抄録1996より

横浜逓信病院眼科  桂 真樹、小澤 哲磨
昭和大学病院眼科  関 保、  小出 良平

レ−ザ−技術の拡大、発展に伴い、その安全な取り扱いは重要度を増している。これまで本学会においてもいくつかの事故例の報告がされているが、関係各位の御協力を得られて、現存まで29例の眼障害例を集めることができたので、まとめ考察を加えた。 5年間隔ての累積度数では、最近のほうが事故発生度が多かった。また種々のレーザが発生原因になってはいるが、発生状況をみると昔も今も変わらずパルス赤外レ−ザ−による、実験室内の事故が殆どを占めていた。また10年近く前からは、日本のレ−ザ−技術の高さを示しているのか米国・中国の人の障害もあり、最近の新しい症例では始めての女性の障害者が認められた。また受傷眼は左眼が右眼よりも有意差を持って多かった。これははっきりとした原因はわからないが、実験室内の設定が顔面の左側からレ−ザ−ビ−ムに近づく様になっているためであろうか。
前述したが今回の眼障害は殆どが実験室内でおこっており、実験という特殊性からビ−ムの調整等のためにレ−ザ−ビ−ムに近づく機会が非常に多いことが事故を生じさせているのであろうか。これらのことから考えると、レザーの光路調整には肉眼にたよらない方法を今後は使用していく必要があると思われた。


 21歳,男 大学生  受傷場所・部位;講座の研究室,右眼  状況;透明材料にレーザーを照射し、その物性を調べる実験中.レーザー装置 (YAGレーザー,繰り返しパルス波、平均出力3〜4W)からでた光の光路のミラーを調整中、手が滑ってミラーの方向が実験者の眼の方向に向いた。  所見;黄斑部に直径1mm以上の損傷が生じた。眼底出血の有無は不明.  直ちに病院を受診したが、適当な治療法はないと言われた.その後5ケ月後から某大学医学部付属病院眼科を受診し,現在も継続治療中である。 詳細は不明であるが黄斑円孔の手術を受け,そのあと網膜剥離を発生し,2回の光凝固、2回の網膜剥離手術を受けている。症状の改善はないようである。  視力は現在右0.06,左は1.2,前年は1.5,1.5であった.  コメント;大学では学年始め,レーザーについての危険性および安全教育は十分行っている. また防護メガネなどの装備も十分用意してあったが,受傷時はかけていなかった。 (光産業技術振興協会 1999-03 報告 (西坂) より)

  実験用YAGレーザーの誤照射による黄斑外傷の一例


 脇谷佳克、松原央、林暁玲、伊藤邦生、宇治幸隆(三重大学)

  緒言:レーザーは眼科臨床に広く応用され、使用にあたっては 安全面で種々の対策がとられているが、はるかにエネルギーの 強い工業用及び実験用レーザーについては対策が不十分であり、 誤照射による網膜障害が問題となる。今回我々は、工学部の実 験中に生じたYAGレーザー誤照射による黄斑障害の一例を経 験したので報告する。
症例:23歳、男性。平成10年10月27日、三重大学にて実習 中、工業用YAGレーザーを左眼に誤照射し、左視力障害を自覚 したため当科外来を受診した。初診時、視力右0.2(1.5)、左0.05 0.3)、左視野に中心暗点および中心やや上方の比較暗点を認め た。眼底には中心小窩やや外側の網膜浮腫と硝子体出血が認め られた。Multi-focal ERG では応答密度の低下を認め,ICG蛍光 造影で早期に中心窩の低蛍光が認められた。ステロイド剤内服 投与3週間後、左視力(1.5)と改善したが、網膜前膜とその収縮 による網膜雛璧が認められ、傍中心暗点と変視症の訴えが残っ ている。
結論:本症例は視機能の予後は比較的良好であったが、今後増 悪する恐れもあり、長期の経過観察が必要である。また工業用 YAGレーザーの使用にあたっては安全対策が望まれる。
(1999 日本臨床眼科学会抄録)


1999-10 現在にて37例の眼障害が確認されている。 眼障害例一覧  眼障害例一覧追加分 

レーザー安全区域対策用具 レーザバリアカーテン、レーザーアイセフティ

               

本製品は,直接のレーザー露光を防ぐための保護具である。
レーザバリアカーテンは数100W/cm2のレーザーにも100s間耐え,さらに低反射率となっている。また, 生地縫製ができるので,のぞき窓にレーザ光用遮光ウインドをつけるなど,自由な設計ができる。
レーザー管理区域周辺の仕切りカーテンや,可燃物・壁面の保護に適している。レーザアイセフテイは,レーザカーテン・ウインドの汎用タイプで,ボックス,パネル,ルームの3タイプがある。
組立式フレームの使用により設置が簡単で,既存のレーザー装置への追加設置が可能である。
フレームも,レーザーの反射によるビーム拡散を防ぎ,2次災害を防ぐ仕様になっている。
 
山本光学汗フテイ&へルスケア営業部マーケテイング課〒577-0056大阪府東大阪市長堂3-25-8電06-783-1101