神経眼科 ,レーザー医学, 眼科ME

12-01-01追加

Neuro-Ophthalmology.Laser safty, Medical Engineering & Biomaterial in Japan

 神経眼科,レーザー眼科,レーザー安全基準,眼科ME 生体材料 に関連した学会,文献,話題等を紹介。

12-01-01  神経眼科 2011年28巻 第二号紹介
11-12-04 日本神経眼科学会総会(神戸)報告
11-10-18  日本臨床眼科学会総会(東京)報告
11-06-03 日本眼科学会総会2011年5月12-15日報告
11-05-08  神経眼科 2011年28巻 第一号紹介
11-03-27追加 (「レーザ製品の安全基準」の改正)

Ozawa Tetsuma 編集


神経眼科 2011年28巻 第二号紹介
視中枢への投射を目指した眼炎症による視神経再生
              栗本 拓治 大阪医科大学
視神経は,中枢神経であり一旦損傷されると再生することなく逆行性変性に陥 る・しかしながら,視神経断端への末梢神経移植による軸索再生や突起伸展抑制因 子の同定,その阻害蛋白による軸索再生が明らかにされ,大きな前進を遂げてきて いる・
近年,新たな視神経再生の機序として,炎症時の活性化マクロファージが産 生するオンコモジュリンを介した機序が明らかとなっている.また,他の機序とし て,網膜神経節細胞におけるmTOR経路, JAK/STAT経路の活性化により,内因 性の軸索再生能が再び活性化され,強力な視神経再生効果をもたらすことも明らか となっている・
筆者らは,眼炎症による再生効果とmTOR経路活性化による網膜 神経節細胞の内因性の活性化を併用することで,これまでには得られなかった視交 叉より中枢側への損傷視神経線維の再生が可能である事を見いだした.
今後,様々 な再生促進因子の併用は,視中枢への投射を目指した視神経再生には有用な戦略に なる可能性がある・        (神眼28 : 326-334, 2011)

 日本神経眼科学会総会報告
日時:平成23年11月25日(金) から27日(日)まで
場所:神戸国際会議場
主催:兵庫医科大学眼科教室 三村治教授
    アジア神経眼科学会(粕井聰教授)も同時に開催された
神経眼科ー診断から治療まで
神経眼科は最近の病態解明の 進歩や新たな薬剤やその投与法、さらには手術法の開発によって、治療分野でも大きな進歩を遂げて おり、シンポジウムが企画されました。

多発性硬化症と神経脊髄炎について 糸山泰人病院長(国立精神・神経医療研究センター)によるすばらしい特別講演がありました。講演抄録を下記します。

 多発性硬化症(MS)は実に不思議な神経疾患である。炎症性脱髄病変が脳や視神経や脊髄 などの中枢神経系にまったく規則性なく多発し,また時間的にも再発と寛解を不規則に繰り返 す経過をとり,その原因は今もって分かっていない。 
従来から日本を含めたアジア諸国のMS は、欧米に比べてその有病率が極めて低いことが知られており、またその病変分布は主に視神 経と脊髄に限られる、いわゆる視神経脊髄型MS (OSMS)が多いことが臨床疫学的に明らかに されてきた。
 その一方、欧米では視神経と脊髄に病変を繰り返すMS類似の疾患は視神経脊髄炎 (Neuromyelitis optica, NMO)と呼ばれ、 MSと一応区別されて考えられてきた。近年このOSMS とNMOが同じ疾患ではないか、そしてこの両疾患(NMO/OSMS)はMSの-亜型ではなくMS と異なる疾患ではないかとの議論が盛んになされるようになった。
そうしたなか米国のメイヨー クリニックと東北大学の協同研究にてOSMSとNMOの患者のみに検出されMS患者には検出さ れない血清中の自己抗体NMO IgGが発見され、にわかにその疾患概念と病態が解明がされるよ うになった。

 このNMOIgGはアストロサイトに局在し、水チャネルの一つであるアクアポリン 4 (AQP4)に対する自己抗体であることが証明された。更に重要なことはOSMSとNMOの病変 の免疫組織学的観察ではその主病変はMSのように髄鞘が傷害される脱髄病変ではなく,むしろ アストロサイトが傷害されるアストロサイトパチ-であることが明らかにされた。
即ち、日本で 長い間MSと考えられてきたOSMSは欧米でのNMOと同じ疾患であり、このNMO/OSMSは症 候は似ているもののMSとはまったく異なるアストロサイトパチ-という疾患概念の疾患である ことが明らかにされたことになる。

 新しい疾患概念の確立は、 NMOの診断基準の確立とともに病態の理解が進み、加えてNMO の治療法が整理され新たな治療法も考えられてきている。特にMSの再発予防に有効なインター フェロンβは、 NMOに対してはその病態を悪化させることが指摘されており、その使用に関 しての留意点が明確にされてきている。
 なかでも眼科領域では、視神経炎の治療にあったては AQP4抗体を測定しNMOの可能性を考えることがその治療法や予後を考える上で極めて重要に なってきている。将来的にはこのNMOの病因である自己抗体AQP4抗体がいかに作成されるか の病因病態の解明がなされ、その成果によってはNMOの撲滅も可能になるものと考える。


日本臨床眼科学会総会(東京)2011年10月7-10日報告
IgG4関連涙腺炎の臨床経過
加瀬 諭、他(北海道大)
 IgG4関連疾患は多臓器疾患であり、眼部では涙腺炎を来すことが特徴である。
 平成17-21年に当科を初診し、 IgG4関連涙腺炎と診断され、 1年以 上経過観察が可能であった女性6例10眼を対象とし、臨床経過を調査した。
 発症年齢は52-72歳(平均63.2歳)、両側性4例、片側2例であった。眼科 的所見は、軽度の角膜上皮障害3例6眼、涙液分泌機能低下2例3眼、眼球突出2例 2眼であった MRIでは涙腺腫瘤が検出された。治療はステロイド薬内服4例、経過観察2例であった。 ステロイド薬はプレドニゾロン30mgを3ケ月間内服し、以後漸減し、半年〜 1年後に中止した。 4例中3例で投与中止後3ケ月経過するも、涙腺炎の再燃、新たな全身合併症の発現はなかった。 経過観察を行った2例では、涙腺炎が遷延した。
【結論】 IgG4関連涙腺炎は、血清IgG4倍の上昇、涙腺組織でのIgG4陽性形質細胞浸 潤を示し、ステロイド薬に反応する疾患である。ステロイド薬投与開始後、十分量を 授与することにより、投与中止後も涙腺炎の寛解を維持することが可能である。

IgG4関連疾患の眼窩下神経腫大
曽我部由香 他 三豊総合病院、
目的】眼窩下神経腫大がIgG4関連疾患と密接に関連している。 病理所見と臨床像を発表する。
【対象と方法】 2004年4月から2011年3月までに、病理診断さらに画像所見によりIONEと診断された9例を対象とした。男女比は8:1で、年齢は27歳から74歳、 平均55.1歳であった。眼窩下神経を含む病変を病理検査できた症例は1例のみであっ た。眼窩MRIを経時的に撮影し、重症度と治療効果を検討した。
【結果】病理所見では炎症性病変の中に、太さ1ミリ程度の有髄神経の断面がみられ、 眼帯下神経の枝と思われた。神経の周囲に炎症細胞が浸潤している状態であり、神経 内部には炎症細胞浸潤、浮腫、シュワン細胞の異常増殖をはじめ格別の異常を認めな かった。初診時のMRIでは、重症度はさまざまであった。腫大の程度が軽く、病変の 長さが短い軽症例から、直径1cm以上の太さで、病変部が眼窩下神経のほぼ全長に 及ぶ重症例まで認められた。治療に伴いIONEの病変は縮小した。

 黄斑上膜(ERM)術前の多局所網膜電図P50の成分と視機能
島田佳明 他(藤田保健衛生大)
【目的】演者らは、多局所網膜電図(mfERG)'の第2カーネル第1スライス(K2.1)に 潜時50msの成分(P50 が中心寓でのみ観察されることを報告したARVO2011)c P50は糖尿病黄斑浮腫で消失するなど中心寓機能を反映する。黄斑上膜(ERM)術前 のP50を調査した。
【対象と方法】特発性ERM 55眼で、術前のmfERG(37エレメント、 BR75Hz)を分 析し、中心部直径4.4度のP50の有無によって、 P50陽性群と陰性群に分け塙床像を 比較した。 【結果】P50は13眼で消失し(n: P50陽性群42,陰性群13)、 P50陽性群の術後視力 は陰性群に較べ有意に高かった(P50陽性群0.13,陰性群0.27 10gMAR, p< 0.02)。 P50陽性群の術後視力は比較的広範囲 0.2-1.5)に分布したが、陰性群に0.7より良 好な症例はなかった(0.2-0.7)。術前視力、年齢、構病期間、術前中心寓厚に、有意 な違いは見られなかった(p>0.05)。 【結論】ERMの視機能低下には複数の原因があり、手術を施行しても改善が得られな いことがある。 P50消失によって、回復しにくい障害の存在を術前に予測できる。過 去のERMの研究報告では、 mfERGに、視力との相関や予後判定に有益な因子は見つ かっていなかった。 P50はmfERGで視機能の評価する指標として有用である。

日本眼科学会総会2011年5月12-15日報告
 特別パネルディスカッション『大規模災害で我々に何ができるか?〜東日本大震災と眼科医療〜』 について
  __「岩手被災地での眼科診療」(岩手医科大学), 「院内復旧と連携強化,後方支援」(東北大学), 「原子力発電所事故への対応」 (福島県立医科大学),「被災地医療を支える大学病院山下英俊氏(山形大学), 「日本眼科学会の対応と対策」(神戸大学)_指名討論:小沢忠彦氏(小沢眼科内科病院)・ 坪田一男氏(慶応義塾大学)
近隣の拠点病院眼科からの被災地への支援、近隣病院へのバックアップー、これにはさらに二重、三重の後方支援が必要であった。国際てきにも眼科検診車空輸援助や眼科医師と検診設備の援助など、被災地が広範なため、支援体制が大規模で複雑なものとなったが、何より重要なことは、刻々変わる状況の変化の的確な情報伝達と連携であったとのことである。 
阪神の地震災害の経験を加えて、的確な支援活動を眼科では行うことができたと考えられる。     



神経眼科 2011年28巻 第一号紹介
神経眼科疾患の遺伝学的進展 山本\子
1993年に国際的共同研究の結果,常染色 体優性遺伝疾患であるパンチントン病の変異 遺伝子が明らかにされて以来1),遺伝疾患の 病因遺伝子の解明が行われ,多くの疾患で究 明されつつある. 神経眼科領域では異常眼球運動を示す数多 くの神経変性疾患,視機能異常を来す網膜色 素変性症やミトコンドリア病などの遺伝的検 索が行われ,診断が確実になり,遺伝子異 常と表現型との関連が明らかになり,さらに 治療への試みなどに期待が寄せられている. 脊髄小脳失調症とミトコンドリア病について 述べられている。 脊髄小脳失調症は優性遺伝の5型、劣性遺伝の2型 につき、ミトコンドリア病はCPEO、 MELAS、視神経萎縮につき神経眼科的特徴などを 詳述されている(表1、2)。
 ハンチントン病の遺伝子解明がなされて, その後,他の遺伝性疾患で遺伝子解明が一気 に進展したのと同様, 1つの遺伝疾患で遺伝 子治療を成功させて一気に突破口を開くため 地道な努力がなされている.

学会印象記
第18回国際神経眼科学会(Lyon),第11回国際斜視学会(Istanbul)
大庭紀雄
平成22年は6月にLyon開催の,第18回国際神縫眼科学会INOS2010, 9 月にIstanbul開催の第11回国際斜視学会に出席した LyonとIstanbulではそれぞれClaude Bernard, Behcetゆかりの大学病院や博物館を訪ね関係史料をいくらか集める機会があった。
国際神経眼科学会
  1) Devic neuromyelitis optica (DNMO)

抗AQP4抗体はDNMOに特異的とはいえない かもしれない。また,脳背髄液のglialfibrillin acidic protein (GFAP)は急性期DNMOにおい ては多発性硬化症その他の神経疾患のそれの数 千倍にも増量する,病巣のサイズや神経機能不 全と相関する,緩解期には正常化するといった 最近の知見が検証追認されていた。脳脊髄液 GFAPは急性期DNMOの診断マーカーとして も活用できるだろう。
2) ADOA
 遺伝性視神経症のセッションでは, 優性遺伝性視神経萎縮, ADOAの諸問題 が熱心に討議された. 2000年に同定された遺 伝子OPAl (3q28-3q29)は,まもなくADOAの 原因遺伝子であることが判明して分子病理学的 理解が進むとともに,昨今は遺伝子型と表現 型との相関問題やmultisystem diseaseとしての病態が検 討されている.
INOS2010におい ても,こうした徴候に加えてADOAplus が複数の施設から報告された。 mtDNA の欠失をみるCPEOに関連した``ophthalmo- plegiaplus"を想起させる所見である.また, ADOAの病因にはミトコンドリアの機能不全が かかわることが指摘された..
国際斜視学会
,神経眼科と境界を接する先天眼球 運動異常や麻痺性斜視について掘り下げた討論 が行われた.こうした課題では臨床実践としての手術療法を検討した 演題が圧倒的多数を占めた. CCDDや上斜筋 麻痔の眼位矯正に手を替え品を替えて外眼筋の transpositionを工夫していた.このあたりは, 鑑別診断や病態生理の検討に意を注ぐ神経眼科 学会と対照的の感じである.

 
第24回甲状腺眼症研究会の報告(経団連会館 平成23年4月9日(土)
震災後まもなくで、足の便もわるく心配されましたが、多数の方が参加され、盛会でした。
甲状腺眼症のステロイド治療 井上立州 
ステロイドパルス治療の成績、パルス治療と大量漸減治療と球後注射 を併用した治療の比較について報告された.
両者に明確な差異はないようである。
バセドゥ病とバセドゥ病眼症の発症機序 
        和歌山県立医科大学 内分泌代謝内科教授赤水尚史

甲状腺分野において現在最も重要な臨床課題の一つが、悪性甲状腺眼症の 治療であり、より良い治療法の開発が望まれています。新たな治療法の開 発には、発症機序の解明が極めて重要ですが、非常に難渋しているのが現 状と思いますO それでも近年、複数のグループによって発症機序に関する 研究が進み、新たな展開が出てきています(図2)。バセドゥ病眼症の本態 は自己免疫異常ですが、従来考えられていたTSH受容体以外にも新たな自 己抗原が提唱されています。また、外眼筋腫大や眼寓脂肪組織増生の機序 は繊維芽細胞の活性化とグルコサミングルカン産生にありますが、その病 態に関して研究が進展しています。
 新しい治療法の可能性が出てきました。


     

JIS C 6802「レーザ製品の安全基準」の改正が平成23年3月22日に官報公示されました。
この規格は, 2007年に第2版として発行されたIEC60825-1を基に,技術的内容及び対応国際規格の構成を変更することなく作成した日本工業規格です。
医用レーザーもこの規格が適用されます。


レーザーポインターによる眼障害3例
 レーザーポインターの安全性確保のため販売規制が行われてから日本では 障害例は報告されていなかったが、2010年、久しぶりに中学生が 学校内で障害された1例があつた.
 加害者は、同級の13歳の中学生で、最近、教室内で起きた事件である。 上海勤務の父親の元に遊びに行き、父親からレーザーポインタを貰った。 父親は、夜店で買ったとのこと。
 レーザーポインターは波長532 nmの( YAGレ-ザのSHG)グリ-ンレーザで、 その出力は50mW。被害者は13歳男子。左眼眼前10cmにて約1秒間照射された。 視力の低下は無かったが暗点が認められた。網膜断層写真にて網膜の中心窩より ややはずれた場所に120μ径の障害を認めた。(現在投稿中 昭和大学眼科 Dr植田俊彦私信)  上海万博会場の周辺では容易に高出力のレーザーポインタが入手できた様である。
50mwと極めて高出力であり、一瞬でも目にはいると 網膜障害を生じてしまう。しかし 見かけの形状は安全なレーザーポインタと変わらない。

英国では2例報告されている。レーザーの出力はさらに大きく150mwである。1名は 自傷事故で両眼受傷した。反射光によると思はれる。視力は右眼0.4左眼は指数弁であつた。幸いなことに最終的 には右0.6 左0.8まで回復している。著者は形状が安全なレーザーポインタと変わらな いので危険性が大きいと指摘している。(Stefan Wyrsch MD 他、The New England Jounral of Medicine 1089-1091,2010)
もう1例は出力の記載はないが両眼の視力が0.5まで低下している (Kimia Ziahosseini 他、BMJ 340:1261,2010) 。

これらのレーザーポインタは安全なものの100倍も強力なもので、おもはぬ所からの 反射光で他人だけでなく 自分にも障害を生じうる。 素人にはとても使用できない危険 なものである。
もし手元に安全性の確認されていない外国製のレーザーポインタがあれば 直ちに破棄されることをおすすめする。

YAGレーザーによる網膜障害の1例  保護眼鏡(透過率10-5)を装用していたにも関わらず、網膜損傷を生じた。
YAGレーザー50mJ の反射光を 1秒間見つめた。視力は1.2であったが左眼中心窩に白斑、OCT所見より視細胞障害が考えられた。
事故の原因が保護眼鏡の透過率か眼鏡の構造かは抄録からは不明であるが、保護眼鏡をかけていて眼障害 を起こしたのは世界で初めての症例と考えられる。(佐藤達彦他 昭和大学眼科  日本職業災害医学会2010)


  

日本神経眼科学会2010 名古屋 報告
 甲状腺眼症は難解な疾患である。井上洋一氏等の先達が全体像の把握に努めてこられたが
最近は若手研究者も増え、不可解な、得体の知れないこの疾患の病態がより明確化 してきている、 本会のシンポジゥムではエネルギッシュな検索を続けられている柿崎裕彦氏(愛知医大眼科)が 外科的治療を, 安積 淳氏(神戸海星病院)が内科的治療を講演された。安積氏の抄録の一部を掲載した。
「バセドゥ病眼症に対する非観血的治療」 安積 淳 神戸海星病院眼科
眼窩組織に対する自己免疫疾患であるバセドゥ病眼症の経過は: 1)炎症性疾患として活 動性の高い時期から始まり、 2)未治療でも自己制限性に経過し0.5−3年で鎮静化するが、 3)鎮静期に眼窩容積増大、筋組織拘縮による後遺症を残す、とまとめることができる。従っ て治療は、的確に炎症活動性を評価し、自己免疫反応による炎症を抑制して、鎮静期の後遺 症を最小限に食い止める。複視や眼球突出などの後遺症には外科的治療を行う。という方針 になる。 
 (中略)バセドゥ病眼症の程度には軽重があり、ステロイドの副作用を考えると、パルス療法の適 応には限界がある。一方、患者のQOL低下には、眼瞼腫脹や眼瞼後退といった前部眼窩組 織の軽症病変が大きなウエートを占めており、視機能に影響がなくても看過できない。昨今、 こうした軽症例に、トリアムシノロンアセト二ド40mgの局所注入を行ってきた 2008年 まで155例の治療効果解析では70%の症例で「軽症〜症状なし」まで改善したが、 14%で 再発や治療効果不足、対眼発症、直筋群発症がみられた。(後略)
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